理想のスピーカーを求めて
オーディオシステムの中で、最も音を左右するのはスピーカーです。
私も、少ない予算の中で、いかにいい音の出るスピーカーを手に入れるか、かなり苦心いたしました。
最初にスピーカーを購入した時、秋葉原のオーディオショップをめぐり、ペアで4~5万円のスピーカーを視聴しまくり、店員さんの話に耳を傾けました。ショップによって、店員さんの推しスピーカーがマチマチなので、あまり参考にはなりませんでしたが。(メーカーのヘルパーさんは、当然自社の製品をプッシュしますから・・・)
ただ、オーディオショップ巡りをしているうちに、自分の中で、何となく国産よりも海外メーカーのスピーカーの方が、自分の好みに合っているのではないかという、漠然とした思いが湧いてきました。
海外のスピーカーに惹かれて
当時、暇さえあれば秋葉原に出かけては、オーディオショップを回ってスピーカーを視聴していたのですが、そんな中で、NHT、セレッション、タンノイ、ボーズ等の海外メーカーの製品に徐々に惹かれていきました。これらのメーカーは、ペアで5万円以下で、個性的なスピーカーを出していたのです。そんな中で、私は、NHTのスーパーゼロとセレッション3の2本に候補を絞り、悩みに悩んだ挙句、セレッション3を購入したのでした。
NHTは米国のメーカーで、セレッションは英国のメーカーです。どちらの製品も、当時のオーディオ雑誌の低価格スピーカーの部門では、評価の高い製品でした。で、私が最終的にセレッション3を選んだ理由は、今にして思えば、英国スピーカーらしい「陰影」に惹かれたからではないかと思うのです。
NHTのスーパーゼロの陽気で鳴りっぷりのいい音は、ロックやジャズ向きで素晴らしかったのですが、当時、私がよく聴いていた英国のフォークを聴くには、やや陰影があり、アコースティック楽器の響きが美しいセレッション3がより向いているように思えたのでした。
海外スピーカー遍歴はじまる
当時、私は、Kenwoodの中級クラスの中古プリメインアンプを使用していて、セレッション3は、そんなアンプでも結構いい音を出してくれていました。が、しばらく聴いているうちに、ブックシェルフの限界が気になってきました。よく飲みに行っていたロックバーで聴くような、迫力ある低音が欲しくなってきたのです。
そこで目を付けたのが、ちょっと昔の製品ですが、以前から気になっていたボーズの501Zという、独特の形をしたスピーカーでした。2個のキューブスピーカーと1台のスーパーウーファーからなるユニークな製品で、発売当時は、オーディオ雑誌でも絶賛されていた、憧れのスピーカーです。
運良く、ヤフオクで安く落札することができて、同じくヤフオクで入手したプリメインアンプのサンスイAU⁻α607LExtraに繋いで使用していたのですが、迫力ある低音と、意外と繊細な高音が醸し出す音は、ロックやジャズだけでなく、クラッシックもそこそこ聴かせてくれるのでした。こうして、私とボーズ501Zの蜜月時代はしばらく続いたのでした。
英国のBBCモニターに惹かれる。
そんなある日、オーディオショップで、あるスピーカーと出会いました。
小さなスピーカーが、堂々とした響きで、凛とした美しさを湛えた音を出していました。
ロジャース LS3/5Aという名のスピーカーでした。BBCモニタースピーカーとの初めての出会いでした。その日から、BBCモニターのことが頭から離れなくなってしまいました。
その後、ハーベスやスペンドールのLS3/5Aも試聴してみました。似た傾向の音でしたが、それぞれの個性も感じられました。それ以来ヤフオクで各社のLS3/5Aをチェックするようになりました。が、いずれも人気があって、中古品でも落札額はすぐに10万円を超えてしまうのでした。
そういうわけで、LS3/5Aは予算的に厳しく、諦めざるを得ませんでした。ただ、BBCモニターの音への憧れは消し難く、ロジャース、ハーベス、スペンドールといった英国BBCモニター系のメーカーの、もう少し下位のランクの製品を探すことに方針転換いたしました。
その結果、手に入れたのは、現在も使用中のスペンドール社のSP3/1Pというスピーカーでした。
そして、さらなる音を求めて、新たな遍歴がはじまる
スペンドール・SP3/1Pは、いかにも伝統的な英国スピーカー然とした、薄っすらと霧がかかったような陰影を伴いながら、柔らかく美しい弦の音や艶っぽい女性ボーカルを聴かせる、素敵なスピーカーです。それでいて、芯のあるベースの音とエレキギターの音も悪くなく、英国ロックを魅力的に聴かせてくれもします。
とはいえ、長い間同じスピーカーを聴いていると、また違った傾向の音も聴いてみたいという欲求が頭をもたげて来るのも事実です。
というわけで、現在は、より最近のBBCモニターの音を求めて、ヤフオクを物色中であります。本当に、オーディオという趣味は底なし沼なのです。
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